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電気喉頭(電気式人工喉頭)とは?仕組み・使い方のコツ・費用をやさしく解説

のどに当てて「口から声を出す」代用発声と、声を取り戻す新しいデバイス

電気式人工喉頭をのどに当てて発声する様子

喉頭がんや咽頭がんなどの治療で喉頭を摘出すると、これまでの声(声帯を使った発声)は出せなくなります。しかし、話す手段そのものが失われるわけではありません。

この記事では、代用発声のひとつ「電気式人工喉頭(電気喉頭)」を取り上げ、仕組み・うまく話すコツ・習得の目安・費用と補助までをやさしく整理します。あわせて、近年登場した新しいタイプの人工喉頭や、手術前に自分の声を残すという選択肢にも触れます。

代用発声と電気式人工喉頭

声を失っても、話す手段はある

喉頭を摘出すると、声帯を使ったこれまでの発声はできなくなります。しかし、別の音源で発声を補う「代用発声」を身につけることで、再び会話を取り戻していけます。

代表的な代用発声は、食道発声・電気式人工喉頭・シャント発声の3つです。この記事では、そのうち比較的習得しやすいとされる「電気式人工喉頭(電気喉頭)」を詳しく見ていきます。3つの方法の比較は、別の記事でまとめています。

電気喉頭の仕組み — なぜ「口から声が出る」のか

のどに当てた振動を、口の動きで言葉にする

ふだんの発声では、声帯の振動が口やのどの空気を震わせ、舌や唇の動き(構音)で言葉になります。喉頭を摘出すると声帯がなくなるため、この「振動源」を電気喉頭が代わりに供給します。

電気喉頭をのどに押し当ててボタンを押すと、機器の振動が頸部の軟部組織を通じて、のど(咽頭)や口の中の空気を震わせます。その状態で口や舌を動かすと、振動が言葉になります。つまり、声は口から出てきます。

  • 声帯の代わりに、電気喉頭が「振動源」になる
  • 振動はのど・口の中の空気を震わせ、口や舌の動きで言葉になる
  • 言葉として聞き取れる音声は、口や舌の動きで形づくられる

電気喉頭を使うコツ

振動が伝わる位置を見つける

うまく話すコツは、振動が口の中の空洞にしっかり伝わる位置に電気喉頭を押し当てることです。最適な位置・角度・押し当てる強さは人によって異なるため、言語聴覚士の指導や、当事者団体の発声教室で練習しながら、自分に合う当て方を探していきます。

口を大きく、はっきり動かすほど言葉は明瞭になります。最初はお互いに聞き取りづらく感じても、話す側・聞く側のわずかな慣れと練習で、円滑にコミュニケーションが取れるようになっていきます。

練習初期の段階での、電気喉頭による発声例

習得にかかる期間

個人差はあるが、入院中から練習できる

電気喉頭は、代用発声のなかでは比較的習得しやすいとされ、機器があれば入院中から練習を始められます。

習得までの目安は、早い人で2〜3週間、平均すると半年ほどとされています。ただし、習得にかかる期間には個人差が大きく、年齢・体力・練習量・体の状態などによって変わります。焦らず、自分のペースで続けることが大切です。

電気喉頭の費用と補助

メーカー希望小売価格と、公的な給付制度

電気式人工喉頭のメーカー希望小売価格は、おおよそ7〜8万円台が目安です。たとえばユアトーンは77,000円(税込)です。販売店や時期によって価格は変わります。

喉頭摘出などで音声を失った方は、日常生活用具の給付といった公的な補助の対象になる場合があります。利用には身体障害者手帳が必要になることが多く、給付額や手続きも自治体によって異なるため、お住まいの市区町村役場の福祉窓口にあわせてご確認ください。

新しいタイプの人工喉頭

ハンズフリー型・マウスピース型の開発も進む

従来の電気喉頭には「片手がふさがる」「声が平板になりやすい」といった課題があります。近年は、これらを補う新しいタイプの人工喉頭の開発が進んでいます。

たとえば「Voice Retriever(マウスピース型人工喉頭/東京科学大学発)」は、マウスピース上の振動体を口や舌の動きで音声に変える仕組みです。「Laryphonix(株式会社コロキアム)」は、首に装着してハンズフリーで使い、AIが本人の声質を学習して自然な声に近づけるウェアラブル型の人工喉頭です。いずれも比較的新しい選択肢で、適応条件や使い心地には個人差があります。

声そのものを残すという選択肢

コエノコ変換

電気喉頭も新しい人工喉頭も、いずれも発声機能を「補う」方法であり、手術前の「自分の声」がそのまま戻るわけではありません。

手術の前に声を残しておけば、電気喉頭の機械的な音声をAIで本人の声に近づける「コエノコ変換」のような選択肢も生まれます。どの方法が合うかは、担当の医師や言語聴覚士に相談しながら選んでいくとよいでしょう。そのうえで、自分の声を残すことに関心があれば、まずは「コエノコ収録」からお気軽にご相談ください。

よくある質問

電気喉頭はどのくらいで使えるようになりますか?
目安は、早い人で2〜3週間、平均すると半年ほどとされています。機器があれば入院中から練習を始められます。ただし習得にかかる期間には個人差が大きく、年齢・体力・練習量などによって変わります。
電気喉頭はどこに当てればいいですか?
振動が口の中の空洞に伝わる位置に押し当てるのがコツです。最適な位置や角度は人によって異なるため、言語聴覚士の指導や当事者団体の発声教室で練習しながら、自分に合う当て方を見つけていきます。
電気喉頭はどんな場面で使えますか?
対面での会話のほか、電話や外出先など、さまざまな場面で使えます。一方で、片手がふさがることや、騒がしい場所では聞き取りづらくなることもあります。場面に応じて、ほかの代用発声と使い分ける方もいます。
電気喉頭の費用や補助はどうなっていますか?
メーカー希望小売価格はおおよそ7〜8万円台が目安です(販売店や時期で変わります)。喉頭摘出などで音声を失った方は、日常生活用具の給付など公的な補助の対象になる場合があります。給付額・手続きは自治体で異なるため、市区町村の福祉窓口にお問い合わせください。
電気喉頭で、手術前の自分の声に戻りますか?
電気喉頭の音声は機械的な振動を音源とするもので、手術前の自分の声そのものではありません。自分の声を残すには手術前に声を保存しておく必要があり、残した声をもとにAIで自分の声に近づける「コエノコ変換」のような選択肢もあります。

出典・参考

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