収録スタッフの声|福田(収録・音響担当)

収録・音響担当

録り直しのあとは、必ず「完璧でした」と言い切る

コエノコの収録では、AI音声モデルの素材として使える品質で声を残す必要があります。福田は収録機材のセッティングとスタジオの音響、そして当日の収録対応を担当しています。

大学で音の研究をしたいと考えていた福田が、実際の収録現場で何を見て、何を大切にしているのかを聞きました。

音の研究がしたかった

——この仕事に関わるようになったきっかけを教えてください。

「コエノコを運営しているTARVO株式会社に入ったのは、大学の先輩の紹介でした。もともと自分が音の研究をしたいと思っていたこともあって、自分がやりたいことと会社がやりたいことが合致したので、参加させてもらったという感じです」

——収録ではどんな役割を担当していますか。

「主に収録機材のセッティングと、収録スタジオの音響、そして収録対応を行っています」

初めての収録で感じたこと

——コエノコの収録を初めて担当したとき、どう感じましたか。

「それまで、がんの患者さんとお会いしたことがちゃんとなくて。その方々が直面している課題の大きさとか、それに向かって頑張ろうとしている姿勢とか、そういうものをサポートしているんだという気持ちを強く感じました」

「意義深い仕事だと感じましたね。人に価値あるものを提供できたな、という実感が今まであまりなかったので、新鮮でした」

——「いい収録」とはどんな収録だと考えていますか。

「システム上、機械学習がしやすい音声を録ることが大前提としてあります。それともう一つは、ご本人が何の不自由もなく収録を受けられて、受ける前と受けた後で、気持ちが少しでも軽くなること。それができたら、いい収録だなと思っています」

「逆に一番避けたいのは、不安を増やしてしまうことです」

収録室と機材のこと

——AI音声の素材として「いい声の録れ方」のために、機材や環境でこだわっていることは。

「音を処理するオーディオインターフェースを通して録るようにしていますし、環境については、しっかりとした防音性のある収録室で収録するようにしています」

「音質がちゃんと担保されているかを、ソフトで一回一回チェックしながら、慎重に進めています」

モニターの見せ方にも工夫がある。

「収録では、読んでいただく文章をモニターに一文ずつ表示しています。しかも大きく表示されるので、そのままの姿勢で、安心してすらすら読んでいけるような形になっています」

文字が見えにくい方には、モニターの文字サイズを調整して対応している。

ヘッドホンをつけ、収録用のノートPCとオーディオインターフェースを操作する福田

呼吸の音で、疲れに気づく

——収録の合間で気をつけていることはありますか。

「まず、収録の質がちゃんと取れているか。それと、ご本人が途中で疲れていないかを確認するようにしています」

「声の息切れのテンポとか、呼吸の音とかもけっこう聞こえるので、そういうところで、さっきと比べて疲れていないかなというのを意識するようにしています」

——ご家族が同席される場合は。

「リラックスしていただくために、休憩の間にお話ししてもらって、収録がよりスムーズに進むようにしています」

「ご本人だけだと不安があると思うので、ご家族にも納得していただく。お二人が信じてくださったほうが、もっと信頼していただけると思うので」

声の息切れのテンポや、呼吸の音でわかるんです。さっきと比べて疲れていないかな、と

うまくいっている、という空気を一緒に作る

——「自然ないつもの話し方」を引き出すために意識していることは。

「まずリラックスしていただくこと。姿勢もけっこう大きいと思うので、ゆるく座っていただいて、そのまま喋ってもらうようにしています」

収録中、いま何がどれくらいうまくいっているのかは、話しているご本人からはいちばん見えにくい。福田はそこを、スタッフの側から言葉にして埋めている。

「いい録音ができたときに、ちゃんと積極的にそれを肯定する。『OKです』『いまのすごく良かったです』と、声に出してお伝えするようにしています」

「そのほうがリラックスにもつながると思いますし、『これで良かったんだ』と思っていただけたら、その話し方がそのまま続いてくれるので」

言い直しが入ることもある。それは収録が前に進んでいるというだけで、うまくいっていないわけではない——その空気を、部屋の側から作っている。

いい録音ができたときは、ちゃんと積極的に、それを声に出して伝える

忘れられない収録

——印象に残っている収録はありますか。

「最初ですかね、やっぱり。Aさんです」

「仕事を始める前に、どういう方が対象になるのかを調べていったときは、中心となるのは60代くらい、という印象だったんです。でも初めてAさんにお会いしたときは、まだお子さんも小さくて、30代で」

「それなのに、がんという状況になって、手術をしなければいけない。そういう状況にある方を実際に見て、でもその方が、ちゃんとご自身の考えでしっかり動いていらっしゃるのを見て、すごい、そんなことができるんだと」

「人間の強さもありますし、実際の病気の恐ろしさというのも同時に感じて。知識としてはいろいろ蓄えていたんですけど、実際に体験することで、こんなに印象が変わるんだなと感じた収録でした」

——収録を終えた方の反応で、忘れられないものは。

収録の前は、声を残すことにあまり前向きになれずにいた、ある患者さんの話。

「その方が収録を終えたあと、笑顔で話しかけてくださって。語気もちゃんと柔らかくて、弾んでいたんです」

「そういう気持ちの部分の手助けを、自分たちができたんだと思うと、それはけっこう印象に残りましたし、嬉しかったです」

10年後、20年後のために

——この仕事をしていて、やっていてよかったと感じた瞬間は。

「人の役に立てたという実感ですね。収録を終えたときに、皆さんが笑顔で終えてくださるのは嬉しいです」

「あとは、コエノコ変換という技術について。着実に準備が進んで、実装に向かっている。こういう技術がちゃんと作られて活用されるというのを見ると、これは本当に価値のある仕事だなと思います」

——これから収録を検討している方、迷っている方へ。

「こういったサービスを受けるという状況にあるということは、さまざまな感情に心が揺られていると思います。もしそういった方の何か助けになれれば、と僕は思っています」

「ぜひいろいろ連絡して、分からないことを聞いていただいて。それで僕たちのことが信頼できるとなったら、そのときは任せてほしいです。全力で力になれるように尽力します」

——手術まで時間がない、という方には。

「技術が進歩しているこの現代で、声をデータとして残していく意義は非常に大きいと思っています。10年後、20年後には、今よりももっとすごいサービスが——残った声のデータを使ったサービスが進歩して、この世に存在していると思うので」

「声だけでも残していくことには、本当にとてつもなく価値があると思います。それに声というのは、どう頑張ってもその人のアイデンティティを表すものなので、そういったものはちゃんと残しておけると大事なのかな、と思っています」

声というのは、どう頑張ってもその人のアイデンティティを表すもの

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