【コエノコ収録 ご利用事例】菊池様
「回復したときに、会える友達がいる」——告知からすぐ、声を残す決断

食事のときの、ちょっとした違和感。それが始まりでした。季節柄「花粉のせいでは」と言われて薬を続けても変わらず、消化器内科の内視鏡検査で、のどと食道の境目に腫瘍が見つかりました。6月半ば、がんの告知。喉頭の摘出が必要になるかもしれない——そう告げられました。
菊池様と息子さんは、告知からすぐに動き始めます。「声を残せるうちに残しておきたい」。コエノコにご相談いただき、収録の日程はすぐに決まりました。今回は、名古屋から博多のスタジオへ伺っての出張収録です。
違和感の正体が、なかなか分からなかった
告知は、突然に
ご飯を食べるときに、なんとなく違和感がある——最初に受診したのは耳鼻咽喉科でした。ちょうど2月。「花粉の季節だから」とアレルギーの薬を2か月続けましたが、変化はありませんでした。
そこで消化器内科を受診したところ、内視鏡検査ですぐに腫瘍が見つかり、その場で紹介状が出されました。のどと食道の境目にできた腫瘍。6月半ばの告知では、喉頭の摘出が必要になるかもしれないと告げられました。
発見までに時間がかかったことについて、収録当日の会話に誰かを責める言葉はありませんでした。「町のお医者さんでは、どうしても分からないこともありますよね」——そんな言葉が、静かに交わされていました。
告知から、すぐの行動
息子さんと二人三脚で
「喉頭を摘出するかもしれない」という話が出てすぐ、息子さんが声を残す方法を調べ、コエノコにご連絡をいただきました。サービスのご説明から収録日程の決定まで、あっという間でした。
手術の日程は、直前に早まることがあります。ほかの患者さんのキャンセルなどで病院の予定が空くと、「来週どうですか」と急に決まることもある——だからこそ私たちは、「収録はできるだけ早く」をお勧めしています。菊池様も、告知からひと月あまりでの収録となりました。
「自分の親が病気になったとき、こうして一緒に動けるのは、なかなかできることではないと思います」——担当スタッフも、息子さんとの連携が印象に残ったと話します。
収録当日——博多のスタジオで
音読は「小学生以来」。それでも一気に
収録は、お体の負担を減らすため、名古屋からスタッフ2名が博多のスタジオへ伺う出張収録に。「移動するだけでお疲れになってしまうと思うので」という配慮からです。
「今日も一日、頑張りましょう」「明けましておめでとうございます」——あいさつや季節の言葉から始まり、たくさんの文章を読み上げていきます。どの場面でも自然に使える声を残せるよう、収録は落ち着いた読み上げで行います。「音読なんて、小学生以来ですよね」と笑う菊池様。緊張すると早口になってしまうと言いながら、スタッフと確認を重ねて、ひとつずつ丁寧に読み進めました。
休憩はほとんど取らず、一気に集中して読み切りました。「帰って休むと気が抜けてしまうから、一気にやったほうが楽なんです」。最後まで声のかすれもなく、術前の自然な声を、十分な分量で残すことができました。

声が出るうちに、やりたいことを
「回復したら、おいしいお酒をご馳走したい」
告知を受けてから、菊池様は「行けるうちに行こう」と、ご自分からお友達に声をかけてカラオケにも行きました。歌える時間を、大切な人たちと過ごす——そんな時間の使い方も、菊池様らしい選択でした。
手術への不安が消えたわけではありません。それでも、収録を終えて「やることはやった」という気持ちが、いまの支えになっています。
回復したら、おいしいお酒をご馳走してあげるんです。回復したときに、会える友達がいるんですよ。
術後の暮らしへの備え
ご夫婦の暮らしに合わせて、少しずつ
菊池様はご夫婦お二人の暮らし。まずは筆談やホワイトボードも使いながら、暮らしに合った伝え方を組み立てていく予定です。
収録した声から作る「コエノコ合成」は、文字を入力すると自分の声で読み上げるアプリです。よく使う言葉を定型文にしておけば、来客の応対のように「声が出ないと困る場面」でも役立ちます。使い方は息子さんにもお伝えして、ご家族で使える状態にしてお渡しします。
その後、完成した合成音声をお渡ししたところ、窓口を務めてくださった息子さんから、ご本人も「自分の声に近い」と驚いていた——といううれしいご報告をいただきました。
収録した声を収めたUSBメモリは、大切に保管いただくようお願いして、菊池様にお渡ししました。
コエノコ担当者より
「声を残す」という選択肢を、必要としている方へ届けたい
菊池様のように、告知から手術までの限られた時間のなかで、声のことにまで思いを向けられる方ばかりではありません。治療のこと、暮らしのこと、ご家族のこと——考えることが山積みのなかで「声を残す」という選択肢にたどり着き、すぐに動いてくださったこと。そしてそれを支えた息子さんの行動力に、私たちも背中を押される思いでした。
声は、手術のあとに同じ形では残せません。だからこそ、声が出るうちに、落ち着いて収録できる環境を整えてお迎えするのが私たちの仕事です。今回も機材とスタッフごと博多へ伺いました。声を残したい方のためなら、全国どこへでも駆けつけます。
菊池様の手術が無事に終わることを、スタッフ一同、心から願っています。合成音声が出来上がり次第、ご家族にお届けします。
コエノコはこれからも、声の変化と向き合う方が安心して治療や暮らしに向き合えるよう、手術前の声を未来へ残すお手伝いを続けます。
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