ご家族へ:喉頭がんの手術前に、家族ができること
情報を整える・相談する・「声を残す」選択肢に気づく

ご家族が喉頭がんと診断され、喉頭を摘出する手術を控えているとき、ご本人だけでなく、ご家族も大きな不安を抱えることと思います。
この記事では、手術前にご家族ができること(情報を整える、相談先を知る、術後のコミュニケーションに備える、そして手術前にしか選べない「声を残す」という選択肢を知る)を、公的機関の情報をもとに整理します。
喉頭がんの手術を前にしたご家族へ
手術で何が起きるのか
ご家族が喉頭がんと診断され、喉頭を摘出する手術を控えているとき、ご本人だけでなく、ご家族も大きな不安を抱えることと思います。
喉頭がんのほか、喉頭に近い下咽頭がんなどでも、治療で喉頭をすべて取り除くことがあります。喉頭を摘出する手術では、これまでの「自分の声」が出せなくなります。術後は食道発声や電気式人工喉頭などの「代用発声」でコミュニケーションを取り戻していきますが、声をめぐる大きな変化に、本人がすぐには気持ちの整理をつけられないこともあります。
診断の直後は、本人が混乱して担当医にうまく質問できなかったり、心身に余裕がなくなったりすることも珍しくありません。そんなとき、そばで話を聞き、一緒に情報を整理することが、ご本人の助けになることがあります。
手術前に、家族ができること
情報を整える/相談先を知る
相談先の一つに、「がん相談支援センター」があります。全国のがん診療連携拠点病院などに設置されており、患者本人だけでなくご家族も、無料・匿名で相談できます。その病院に通っていなくても利用できるので、気になることがあれば早めに相談してみてください。
治療方針についてほかの医師の意見も聞いておきたい場合は「セカンドオピニオン」という方法があります。理解が深まり、納得して治療に臨む助けになりますが、紹介状(診療情報提供書)や検査データが必要で、公的医療保険が使えない自由診療(全額自己負担)になる点には注意が必要です。受診先の探し方も、がん相談支援センターで相談できます。
診察に付き添うときは、ご家族が落ち着いて話を聞き、メモを取るだけでも本人の助けになります。一方で、ご家族のほうが感情的になってしまうこともあります。ご自身の気持ちや体もいたわりながら、無理のない範囲で支えてください。
術後のコミュニケーションに備える
代用発声と、まわりの支え
喉頭摘出後は声を失いますが、代用発声を身につけることで、再び会話を交わし、社会に復帰していくことができます。代表的な方法に、食道発声・電気式人工喉頭・シャント発声があります。
習得にかかる時間には個人差があり、たとえば食道発声は3〜6か月程度を目安に練習することが多いとされます。すぐに元どおりとはいかないこともありますが、当事者団体が開く発声教室(見学は自由なところが多い)など、支えとなる場があります。
術後すぐは、まだうまく発声できず筆談などに頼る時期もあります。ご家族が代用発声やコミュニケーションの変化をあらかじめ知っておくことで、その時期を一緒に乗り越えやすくなります。
「声を残す」という選択肢を、一緒に考える
手術前にできる、もう一つの備え
代用発声で取り戻せるのは「会話する力」であり、手術前と同じ本人の声がそのまま戻るわけではありません。そして、自分の声を残せるのは手術を受ける前の限られた時間だけです。
手術を前にした本人は、治療や命のことで頭がいっぱいになりがちで、「声を残す」ところまで考えが及ばないこともあります。そのため、ご家族が先に情報を知り、必要に応じてそっと共有できると助けになることがあります。喉頭がんなどで声を失った方は、国内で約3万人いるといわれています。
手術前に声を残しておけば、その声をもとに術後に自分の声を再現することもできます。私たち「コエノコ」も、名古屋大学と連携してこのサービスを提供しています。ご家族からでも情報を集めたり相談したりできるので、気になったら担当の医師にも相談しながら検討してみてください。
よくある質問
- 家族として、手術前に何ができますか?
- 情報を整理し、相談先を知っておくことが大きな助けになります。がん相談支援センターは家族も無料で相談でき、診察への付き添いやメモ取りも本人の支えになります。あわせて、手術前にしかできない「声を残す」という選択肢を一緒に考えることもできます。
- 本人が治療のことで頭がいっぱいで、「声を残す」話を切り出しにくいです。
- 手術を前にした方が、治療や命のことで精一杯になるのは自然なことです。無理に説得するより、「こういう選択肢があるみたい」と情報をそっと共有するところから始めてみてください。判断に迷うときは、ご家族だけでご相談いただくこともできます。
- 家族だけで相談してもいいですか?
- はい。がん相談支援センターは家族も無料・匿名で利用でき、その病院に通っていなくても相談できます。「声を残す」ことについても、ご家族だけで情報を集めたり相談したりして問題ありません。
- 術後、コミュニケーションはどう変わりますか?
- 手術直後はこれまでの方法では発声できませんが、代用発声(食道発声・電気式人工喉頭・シャント発声)を習得することで再び会話できるようになります。習得には個人差があり、ご家族の理解と支えが力になります。
出典・参考
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