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喉頭摘出のあと、声はいつ戻る?自分の声を取り戻す方法

元の声・代用発声・術前保存。「声を取り戻す」の正確な意味

声を発する女性と、広がる音声をイメージしたイラスト

喉頭がんなどで喉頭を摘出すると、これまで使ってきた「自分の声」は出せなくなります。では、声はもう戻らないのでしょうか。

結論から言うと、声帯を使っていた頃と同じ声に戻るわけではありません。ただし、食道発声や電気式人工喉頭などの「代用発声」を身につければ、会話によるコミュニケーションは取り戻せます。そして手術の前であれば、いまの声を録音して将来に備えることもできます。

このページでは、喉頭摘出のあと声がどうなるのか、いつ・どのように話せるようになるのか、そして「自分の声を取り戻す」ための選択肢を、公的機関の情報をもとに整理します。

喉頭摘出のあと、声はどうなる?

なぜ声が出なくなるのか

喉頭は、声を出すための器官です。その中には声帯があり、息を通すことで声を作っています。喉頭がんなどの治療で喉頭をすべて取り除く「喉頭全摘出術」を受けると、声帯も一緒に失われるため、これまでの声は出せなくなります。

手術では、呼吸の通り道(気道)と食事の通り道(食道)が分けられ、呼吸は首に開けた「永久気管孔」で行うようになります。気道と食道が完全に分かれることで、誤嚥(食べ物が気管に入ること)の心配はなくなります。

声を失うことは大きな変化ですが、術後は「代用発声」と呼ばれる方法で、再びコミュニケーションを取り戻していくことができます。

「声が戻る」とはどういうこと?期間の考え方

「元の声」と「会話のための声」を分けて考える

「声はいつ戻りますか?」——これは、手術を控えた多くの方が抱く疑問です。ここで大切なのは、「元の声」と「会話のための声」を分けて考えることです。

声帯を使ったこれまでの声そのものは、手術後に戻ることはありません。一方で、代用発声を習得すれば、再び自分の言葉で会話できるようになります。

習得にかかる時間は方法によって異なり、個人差も大きい点に注意が必要です。電気式人工喉頭は比較的習得しやすく、早い人で2〜3週間、平均すると半年ほどといわれます。食道発声は3〜6か月を目標に練習することが多く、平均では約6.8か月という報告があります。シャント発声では、傷の回復を待ってから発声訓練を始めます(海外施設の例では、手術からおおむね10〜14日後を目安に開始する報告があります)。

いずれも年齢や体力、手術の術式によって大きく変わるため、「何週間で必ず話せる」という一律の期間はありません。担当の医師や言語聴覚士、発声教室(当事者団体)のサポートを受けながら、焦らず進めていくことが大切です。

自分の声を取り戻す方法(代用発声の概要)

食道発声・電気式人工喉頭・シャント発声

喉頭を摘出したあとに使う代用発声には、主に次の3つがあります。それぞれに長所と短所があり、体の状態や生活に合わせて選んだり、組み合わせたりします。

食道発声は、飲み込んだ空気を食道から吐き出し、その振動で音を作る方法です。器具も追加の手術もいらず、両手が自由に使えるのが利点ですが、習得には練習と時間がかかります。

電気式人工喉頭(電気喉頭)は、振動する機器をのどに当てて音を出し、口や舌の動きで言葉にする方法です。入院中から練習でき習得しやすい一方、片手がふさがり、音が機械的になりやすい面があります。

シャント発声は、気管と食道をつなぐ管に一方向弁の器具(ボイスプロステーシス)を入れ、肺の息で食道を振動させる方法です。比較的自然に長く話せますが、手術が必要で、器具の定期的な交換や日々の管理が欠かせません。

それぞれの仕組みや選び方の違いは、別の記事で比較しています。

手術前なら「自分の声そのもの」を残せる

声を失う前にできる備え

代用発声で取り戻せるのは「会話する力」であり、手術前と同じ自分の声がそのまま戻るわけではありません。いまの声を録音できるのは、手術前の限られた時期です。早めに知っておきたいポイントです。

名古屋大学が AMED(日本医療研究開発機構)の支援を受けて取り組む「Save the Voice」プロジェクトは、手術で音声を失ってしまう前に声を保存し、術後に自分の声を取り戻すことを目指しています。喉頭がんなどで声を失った方は、国内で約3万人いるといわれています。

私たち「コエノコ」は、この「手術前に声を残す」を実際に行えるようにしたサービスです(名古屋大学 Save the Voice の知見から生まれました)。気になる場合は、担当の医師にも相談しながら、早めに情報を集めておくとよいでしょう。

よくある質問

喉頭摘出のあと、声はいつ戻りますか?
声帯を使っていた頃と同じ声は、手術後には戻りません。ただし、食道発声や電気式人工喉頭などの代用発声を習得すれば、再び会話でコミュニケーションを取れるようになります。習得にかかる期間は方法や個人によって大きく異なり、一律の目安はありません。
喉頭摘出後はまったく話せなくなりますか?
手術直後はこれまでの方法では発声できませんが、代用発声を身につけることで再び話せるようになります。多くの方が、言語聴覚士や発声教室(当事者団体)のサポートを受けながらコミュニケーションを取り戻しています。
代用発声にはどんな種類がありますか?
主に「食道発声」「電気式人工喉頭(電気喉頭)」「シャント発声」の3つがあります。それぞれ仕組みや習得のしやすさ、長所・短所が異なり、体の状態や生活に合わせて選びます。
手術前に自分の声を残すことはできますか?
はい。手術で声を失う前であれば、ご本人の声を録音して残しておくことができます。残した声をもとに、術後に自分の声を再現する技術の研究・実用化も進んでいます。
下咽頭がん(咽頭がん)でも声を失うことがありますか?
下咽頭がんは喉頭に近い場所にあり、進行した場合などは治療で喉頭を摘出し、これまでの声を失うことがあります。その場合も、食道発声・電気式人工喉頭・シャント発声といった代用発声で会話を取り戻せるほか、手術前であれば自分の声を残しておくこともできます。治療方針はがんの部位や進行度によって異なるため、担当の医師にご相談ください。

出典・参考

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