喉頭摘出の後遺症とは?術後の暮らしで変わること・備え方
声・呼吸・においの変化と、使える支援

喉頭をすべて取り除く手術のあとには、声だけでなく、呼吸やにおいなど、暮らしのいくつかの面で変化が起こります。
あらかじめ知っておけば、対処や備えがしやすくなります。この記事では、喉頭全摘出術のあとに変わることと、使える支援を、公的機関の情報をもとに整理します。不安な点を整理するきっかけとしてお役立てください。
声を失う(失声)
でも、会話を取り戻す方法がある
喉頭全摘出術では、声帯を含む喉頭を取り除くため、術前と同じ声が出せなくなります(失声)。
ただし、会話の方法がなくなるわけではありません。食道発声・電気式人工喉頭・シャント発声といった代用発声を身につけることで、再び会話を交わし、社会に復帰していくことができます。当事者団体が開く発声教室では、同じ経験をした方が指導にあたっており、生活の相談もできます。
呼吸とにおいの変化
永久気管孔で呼吸するようになる
手術後は、首に開けた「永久気管孔」で呼吸をするようになります。鼻や口を空気が通らなくなるため、鼻をかんだりすすったりすることができなくなり、においも感じにくくなります。
また、吸う空気が鼻を通らないことで、ほこりや乾いた空気を直接吸い込みやすくなります。これに対しては、空気の加湿・加温やフィルターの役割をする「人工鼻」などの医療機器で対処できます。乾燥を防ぐ工夫が大切です。
暮らしの中で気をつけること
入浴・力む動作・飲み込み
入浴の際は、気管孔にお湯が入らないように注意が必要で、入浴は胸までにするなど、日常生活ではいくつか注意が必要になります。また、のど(声帯)を閉じて息をこらえる働きが失われるため、重い物を持つときなどに力を入れにくくなります。
飲み込みについても、食道の一部に手術が及ぶため、ある程度の影響が出ることがあります。一方で、気道と食道が完全に分かれることで、食べ物や唾液が気管に入る「誤嚥」の心配はなくなる、という利点もあります。
使える支援と、声を残すという備え
身体障害者手帳・日常生活用具・術前の備え
喉頭を摘出して声を失った場合、音声・言語機能の障害として身体障害者手帳の3級に該当します。手帳があると、電気式人工喉頭などの「日常生活用具」の給付・貸与といった福祉サービスを受けられます。申請窓口は、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口です。
こうした術後の備えに加えて、手術前にできる備えもあります。それが「自分の声を残しておく」ことです。声を失う前であれば、ご本人の声を録音して残しておけます。
私たち「コエノコ」も、残した声をもとに術後に自分の声を再現するサービスを、名古屋大学と連携して提供しています。気になる方は、担当の医師にも相談しながら情報を集めてみてください。
よくある質問
- 喉頭摘出にはどんな後遺症がありますか?
- 声を失うこと(失声)に加え、永久気管孔で呼吸するようになるため、鼻をかめない・においを感じにくいといった変化があります。入浴は気管孔にお湯が入らないよう注意が必要で、力を入れにくくなることもあります。人工鼻などで対処でき、公的支援も利用できます。
- においが感じにくくなるのはなぜですか?
- 手術後は首の永久気管孔で呼吸し、吸う空気が鼻を通らなくなるためです。鼻をかんだりすすったりすることも難しくなります。
- 何か公的な支援は受けられますか?
- 喉頭を摘出して声を失った場合、身体障害者手帳の3級(音声・言語機能の障害)に該当します。電気式人工喉頭などの日常生活用具の給付・貸与といった福祉サービスを受けられます。お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口で申請できます。
- 術後の暮らしのために、手術前にできることはありますか?
- 手術前に「自分の声を残しておく」ことができます。声を失う前であればご本人の声を録音でき、残した声をAIで再現する技術の実用化も進んでいます。気になる場合は担当の医師にも相談してみてください。
出典・参考
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