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ALS・神経筋疾患で声を失う前に——「声を残す」という選択

発話が難しくなる前に、いまの声を保存する

病室で患者に寄り添い支える看護師

ALS(筋萎縮性側索硬化症)や筋ジストロフィーなどの神経筋疾患では、病気の進行に伴って発音がしにくくなり、病状によっては、声でのコミュニケーションが難しくなることがあります。

その備えの一つとして、「話せるうちに、いまの声を残しておく」という考え方があります。この記事では、声を残すという選択肢と、関連する取り組みを、公的機関の情報をもとに整理します。

神経筋疾患と「声」の変化

進行に伴い発話が難しくなることがある

ALSなどの神経筋疾患では、のどの筋肉に力が入りにくくなることで発音がしにくくなる「構音障害」が起こることがあります。難病情報センターは、話しにくいなどの症状が進行するとコミュニケーションが大変になるため、早めに新たなコミュニケーション手段の習得を行うことが大切だと説明しています。

進行の仕方や時期には個人差が大きく、すべての方が同じ経過をたどるわけではありません。だからこそ、まだ話せるうちにできる備えを知っておくことに意味があります。

「話せるうちに、声を残す」という考え方

声の保存(ボイスバンキング)

発話が難しくなる前に、自分の声を録音・保存しておく——こうした取り組みは、海外では「ボイスバンキング(voice banking)」とも呼ばれます。近年は、この考え方にもとづくサービスや研究が、日本でも少しずつ広がっています。

たとえば、まだ話せるうちにアプリで自分の声を学習させ、合成音声として残しておく取り組みも登場しています。残しておいた声は、将来コミュニケーション機器などと組み合わせて活用することが期待されています。

名古屋大学「Save the Voice」の取り組み

対象に神経筋疾患も含まれる

名古屋大学が AMED(日本医療研究開発機構)の支援を受けて取り組む「Save the Voice」プロジェクトは、手術で音声を失ってしまう前に声を保存し、術後に自分の声を取り戻すことを目指す研究です。

このプロジェクトの対象には、頭頸部がんの方だけでなく、ALSや筋ジストロフィーなどの神経筋疾患のために喉頭を摘出する方も含まれています。声を残しておくという考え方が、神経筋疾患の領域にも広がりつつあります。

声を残したいと考えたら

自分に合う方法を、医師と相談しながら

声を残す方法は一つではありません。たとえば、Save the Voice の知見から生まれた「コエノコ」は、手術前に自分の声を残すためのサービスです。

ただし、コエノコが主に対象としているのは喉頭の摘出を控えている方です。神経筋疾患の場合は、状況によって適した方法が異なるため、担当の医師に相談しながら、自分に合う方法を探すことが大切です。

声の録音を考える場合は、発話がしやすいうちに情報を集めておくと安心です。

よくある質問

ALSや筋ジストロフィーでも声を失うことがありますか?
神経筋疾患では、進行に伴いのどの筋肉に力が入りにくくなり、発音がしにくくなること(構音障害)があります。難病情報センターは、症状が進む前に早めに新たなコミュニケーション手段を習得することが大切だと説明しています。経過には個人差があります。
「声を残す」とは具体的にどういうことですか?
発話が難しくなる前に、自分の声を録音・保存しておくことです。残した声は、将来コミュニケーション機器などと組み合わせて活用することが期待されています。話せるうちに行っておくことがポイントです。
神経筋疾患でも、自分の声を残せますか?
発話が難しくなる前であれば、ご自身の声を録音して残すことができます。名古屋大学のSave the Voiceプロジェクトでは、喉頭を摘出する神経筋疾患の方も対象に含まれています。状況によって適した方法が異なるため、担当の医師にご相談ください。
いつ準備すればよいですか?
自分の声を残せるのは、発話が難しくなる前の時間です。少しでも気になったら、できるだけ早めに、担当の医師にも相談しながらご検討ください。
ボイスバンキングとは何ですか?
発話が難しくなる前に、自分の声を録音・保存しておくことを指す考え方です(「声の保存」とも呼ばれます)。残しておいた声は、将来コミュニケーション機器や音声合成と組み合わせて活用することが期待されています。話せるうちに準備しておくことがポイントです。

出典・参考

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