収録スタッフの声|岩本(広報・デザイン/収録担当)

広報・デザイン/収録担当

「声を失うのつらいですね」ではなく、「今日、頑張りましょうね」から始めます

コエノコの収録は、ご相談のメッセージのやりとりから、日程の調整、そして当日の収録まで、少人数のスタッフが担当します。岩本は広報・デザインを担当しながら、収録当日はご本人とご家族に直接向き合うスタッフです。

サービスのロゴやこのウェブサイト、コラム記事も岩本が手がけています。「収録の日に、どんな人間が来るのか」を来る前に知っていただくためのインタビューです。

声を残したい人に、共感できる部分があった

——この仕事に関わるようになったきっかけを教えてください。

「先輩の紹介でした。ウェブデザインができる機会に興味があったのと、大学で声に関わることをやっていたので、自分にも通じるところがあるなと感じました」

「あとは、声ってすごく大事だなと思っているので、声を残したいと思う方に対して、共感できる部分があったんです」

——初めて収録を担当したときは、どう感じましたか。

「実際にご本人とお話しするのは、正直けっこうシリアスな気持ちになっていました。でも皆さん前向きに声を残そうとしていらっしゃるので、自分もシリアスになりすぎずに、笑おうと思いました」

「あとは、緊張しました」

病気の話から入らない — 最初の声かけ

——収録に来られる方は緊張していることが多いと思います。最初の声かけで、していることはありますか。

「私も緊張しているので、まず天気の話とかをします。最初から病気の話にならないように心がけています」

「『声を失うのつらいですね』という感じではなくて、『今日、頑張りましょうね』というテンション感でお話ししています。たくさん録るので、本当に疲れるんですけど」

収録の合間の配慮も、岩本のほうから声をかける形をとっている。

「積極的に水分補給をおすすめしたり、姿勢はつらくないか、密閉された部屋なので外に出たくないか、付き添いの方とお話ししたくないか。こちらから『これしなくていいですか』『これしなくていいですか』と聞くようにしないと、普通は言いづらいと思うんです」

「なので、こまめに休憩時間をとって聞くようにしています」

ヘッドホンをつけ、タブレットで収録画面を操作する岩本

「最後なので」— 納得いくまで録り直す

——「いい収録」とはどんな収録だと考えていますか。

「声を残す方が、ご自身で満足できるところまで録れること。満足いく状態の声で録れたら、それが一番だと思います」

——逆に、避けたいことは。

「自分が納得いかないまま、適当に録ること。それはやらないようにしています」

「たとえば、ちょっと噛んでしまったとか、言いよどんでしまったというときに、ご本人が直したいと思っていそうなら、絶対に何回でもやり直させてあげたい。最後なので」

声が思うように出ない方と、一緒に方法を探すこともある。

「サ行の音が出にくい方がいらして、こうやったら出るかな、こうやったら出るかなって、ご本人も頑張ってくださっていて。そういうときに『出ないなら大丈夫ですよ』で終わらせずに、ご本人が残したい、頑張りたいと思ってくださっているなら、一緒にやり方を考えたいと思っています」

ご本人が直したいと思っていそうなら、絶対に何回でもやり直させてあげたい。最後なので

ご家族と一緒に

——ご家族が同席される場合、どんな関わり方をしてもらっていますか。

「ご家族が同席される場合は、そもそもご家族の方がコエノコを見つけて、お問い合わせしてくださったり、すすめてくださったりしているケースが多いんです」

「なのでご家族には、ご本人が満足いく形で録れるように頑張ります、とお伝えしています」

「収録はご本人がたくさん話さなければいけないので、本当に大変なんです。そこをサポートしてくださる方が多いですね」

「もしご本人が緊張されていたり、ご家族がすすめて今日やることになった、という場合でも、ご家族の声かけがあると、ご本人も前向きな気持ちになれるのかなと思います」

忘れられない、一通のLINE

——収録を終えた方やご家族の反応で、忘れられないものはありますか。

「立石様が、LINEでいろいろと近況を教えてくださったんです。実際に合成した声を使ってどうだったか、という報告を」

「『これ、本当に私の声だ』と喜んでくださって。看護師さんたちにもいっぱい聞かせて、みんなびっくりしていました、喜んでくれました、私の声だってわかってくれました、って」

「それを報告してくださったのが、本当に嬉しかったです」

「立石様はすごくおしゃべりが好きな方だったので、おしゃべりができなくなってしまうけれど、これを残しておしゃべりを続けるんだ、という思いで収録されていました。それが叶ったのかな、と思って」

「これ、本当に私の声だ」——看護師さんたちにも聞かせて、喜んでくれました

失う前が、一番怖い

——この仕事をしていて、やっていてよかったと感じた瞬間は。

「立石様が『録音したから、もう安心して手術に臨めます』とおっしゃったときですね」

「最初は、コエノコの役割って合成や変換の部分に大きな魅力があると感じていたんです。自分がこれから失うものに対して、残しておけばどうにかできる、という気持ちで」

「でも、一番乗り越えなければいけないのは手術なのかなと思って。失ってしまったら失ってしまうけれど、失う前が一番怖いんじゃないかと」

「そこにもコエノコの役割がすごくあるんだと思ったときに、役割を感じます」

失ってしまったら失ってしまうけれど、失う前が、一番怖い

これから収録を考えている方へ

「声がある生活から、声がない生活になる。その転換点にある手術に対して、どうしても不安になる気持ちや、声がなくなったらどうなるんだろうという不安は、ずっとつきまとうものだと思います」

「そんな不安を抱えているなかで、声を残しておくことには意義があると思っています。今後AIが発達していったら、もっと自分の声を自由に扱えるかもしれない。自分のコミュニケーションの選択肢を増やすことになるので」

「誰かとお話しできるというのは、私にとってはすごく嬉しいことですし、それができないとなると、私もすごく不安な気持ちになると思います。同じ気持ちを抱いている方がいるなら、少しでも心の不安を取り除くお手伝いができると考えています」

——手術まで時間がない、という方には。

「手術が終わった後は、収録することはできません。あと戻りはできないことなので、ご本人にとって後悔のない選択をしていただきたいです。もう見つけてくださったなら、選択肢は一つ増えているので」

最後に、広報を担当する立場から。

「今の時代、テクノロジーでできることは増えていますけど、意外と自分で調べないと出てこないところにあったりします。『どうにかできないかな』と調べていったら、これを見つけて——そう言っていただけたときが、本当に嬉しいんです」

「ただ声を録ります、というだけではなくて、自分の声で話すことを諦めなくていい。そういう選択肢があることを知っていただくのが大事だと思っています。だから、制作物やコラム記事を増やしています」

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