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声が出なくても電話はできる?喉頭摘出後の電話・緊急通報・筆談アプリの使い方

電話リレーサービスと Net119 — 「声の代わり」になる公共サービスを知っておく

柔らかい光に包まれてスマートフォンを操作する手元

役所や銀行の手続き、病院の予約、そして救急車を呼ぶ119番。暮らしの大事な連絡には、いまも「声の電話」が前提のものが残っています。声が出なくなったとき、ここが大きな壁になります。

でも、備えはあります。国の制度として通訳オペレーターが声を代わりに届けてくれる「電話リレーサービス」と、チャットで119番通報ができる「Net119」。この2つを手術の前後で登録しておくと、電話の壁はかなり低くなります。

なぜ「電話」が一番の壁になるのか

対面の会話なら、筆談やジェスチャー、スマホの画面を見せることで案外伝わります。ところが電話はそうはいきません。声だけが頼りの通信手段だからです。

喉頭摘出をした方やご家族の公開ブログ・動画でも、電話の悩みは繰り返し登場します。人工喉頭を構えているあいだに電話が切れてしまう、行政の手続きが電話前提でメール窓口がない、独り暮らしで緊急時に助けを呼ぶ手段が不安——。仕事の連絡から緊急通報まで、「電話ができない」ことの影響は暮らしの広い範囲に及びます。だからこそ、声を失う手術の前後には、電話の代わりになる手段を先に確保しておくことが大切です。

電話リレーサービス — 通訳オペレーターが「声」を届ける公共インフラ

電話リレーサービスは、聴覚や発話に困難のある人の電話を、通訳オペレーターが文字や手話と音声とのあいだで通訳してつなぐ公共のサービスです。法律(聴覚障害者等による電話の利用の円滑化に関する法律)に基づいて、総務大臣が指定した提供機関が24時間365日運営しています。

喉頭摘出などで声を失った方は、文字チャットで入力した内容をオペレーターが相手に音声で伝え、相手の返事は文字で戻ってくる、という使い方ができます。登録すると050で始まる自分の電話番号が発行されるので、相手からの着信を受けることもできます。ただし、本人確認の運用は窓口ごとに異なります。銀行などへ初めてかけるときは、「電話リレーサービスを使って電話します」と先に伝えておくと確実です。

利用には公式サイトからの登録が必要で、通話料などの利用者負担があります。金額や登録手順は公式サイトで最新情報を確認してください。

  1. 公式サイトで利用登録

    日本財団電話リレーサービスのサイトから申し込みます。登録後、050から始まる専用番号が発行されます。

  2. アプリを入れて発信・着信

    スマホやタブレットの専用アプリから発信します。文字チャットで入力した内容を、オペレーターが相手へ音声で伝えます。

  3. 緊急時は緊急通報ボタン

    アプリの緊急通報ボタンから119(消防・救急)・110(警察)・118(海上保安庁)へ発信できます。

Net119 — チャットで救急車を呼べる事前登録制のしくみ

NET119緊急通報システム(Net119)は、聴覚や音声・言語機能の障害で音声の119番通報が難しい方のために、スマホの画面操作とチャットで消防へ通報できるしくみです。

利用には管轄の消防本部への事前登録が必要です。導入状況や登録条件(居住・通勤・通学など)は地域によって異なるので、お住まいの消防本部か自治体の障害福祉窓口に「Net119に登録したい」と問い合わせてください。

緊急通報の手段は、Net119と電話リレーサービスの緊急通報ボタンの二重で備えておくと安心です。あわせて、家族や近所の方に「声が出せないので、緊急時はこう連絡する」と共有しておくことも忘れずに。

ふだんの連絡は — 筆談アプリ・メモ・音声合成の使い分け

対面のやり取りには、大きな文字で表示できる筆談アプリや、スマホのメモ画面を見せる方法が手軽です。書いた文字を読み上げてくれる音声合成アプリを使えば、相手に画面を見てもらえない場面でも伝えられます。喉頭摘出後に使えるアプリの種類は、別記事「声帯摘出・喉頭摘出後に使えるアプリは?」で詳しく整理しています。

店頭や窓口では、「声が出ません。筆談でお願いします」と書いたカードやスマホの定型メモを最初に見せると、その後のやり取りがスムーズになります。よく使う要件(住所・名前・「袋は要りません」など)を定型文にしておくのも実用的な工夫です。

「自分の声」で電話に出るという選択肢

ここまで紹介したのは「声の代わり」を用意する方法でした。ただ、電話口では声の印象がすべてです。もう一歩進んで、電話で使う声そのものを取り戻す道もあります。

手術前に録音した声からは、AI音声合成で「自分の声」の合成音声が作れます。電気式人工喉頭の声をリアルタイムで自分の声に近づける声質変換アプリ「コエノコ変換」の開発も進めています。コエノコは手術前の声の収録から合成音声の作成までをサポートしていますので、電話の備えとあわせてご検討ください。

よくある質問

電話リレーサービスは、喉頭摘出で声を失った場合も使えますか?
使えます。法律上、聴覚や音声・言語機能の障害のために電話での意思疎通に支障がある方が対象とされており、喉頭摘出で声を失った方も含まれます。登録要件の詳細は日本財団電話リレーサービスの公式サイトでご確認ください。
電話リレーサービスの料金はかかりますか?
利用登録のうえ、通話料などの利用者負担があります。最新の料金体系は公式サイトでご確認ください。
Net119の登録に障害者手帳は必要ですか?
登録条件は管轄の消防本部ごとに定められています。障害者手帳を条件とする地域もあれば、音声での通報が困難な方を広く対象とする地域もあります。まずは管轄の消防本部か自治体の障害福祉窓口にお問い合わせください。
結局、救急車を呼ぶときはどれを使えばよいですか?
Net119 と電話リレーサービスの緊急通報ボタン、どちらからでも119へ通報できます。ふだんから使い方に慣れている、登録済みの手段を第一にしてください。どちらも使えない状況に備えて、家族への緊急連絡方法や「声が出せません」と伝わるカードの携帯も組み合わせておくと安心です。
メールやLINEがあれば電話は要らないのでは?
家族や知人とのやり取りはそれで足りることが多いです。ただ、行政手続き・銀行・医療機関の予約など「電話でしか受け付けない」窓口は今も残っており、緊急通報も声が基本のしくみです。電話リレーサービスと Net119 を登録しておくと、そうした場面で困ることをぐっと減らせます。

出典・参考

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