声帯を切除すると声はどうなる?術後に「自分の声」で話す選択肢
部分切除と全摘では、声への影響が異なります

「声帯を切除すると、もう声は出なくなるのでしょうか」——喉頭がんの治療を前に、多くの方が抱く不安です。
実は答えは一つではありません。声帯の一部を取り除く「喉頭温存手術」では声がある程度残る一方、声帯を含む喉頭をすべて取り除く「喉頭全摘出術」では、これまでの声は出せなくなります。この記事では両者の違いと、声を失う場合に「自分の声」で話すための選択肢を整理します。
「声帯を切除する」と一口に言っても
声が残る場合と、発声方法が変わる場合がある
喉頭がんの治療では、がんの広がり(病期)によって治療方針が変わります。国立がん研究センターの情報では、0〜Ⅱ期までの早期では、放射線治療か喉頭を温存する手術のいずれかで、喉頭をすべて取らずに声を出す機能を残すことが勧められています。
一方、Ⅲ期以上の進行がんでは、喉頭の機能を残すことを目指す治療(化学放射線療法)か、喉頭をすべて取り除く「喉頭全摘出術」かを選択することになります。
つまり「声帯を切除する」と言っても、声がある程度残る場合と、声を失う場合があります。まずはこの違いを知っておくことが大切です。
喉頭温存手術・放射線治療では声が残る
ただし「かすれ(嗄声)」が残ることも
喉頭の一部を取り除く「喉頭温存手術」では、手術後もある程度声を出すことができます。放射線治療も喉頭を切除しないため、声を出す機能を残すことが期待できます。
ただし、声の質がもとどおりになるとは限りません。放射線治療では、軽い声のかすれ(嗄声)が残ることもあるとされています。どの程度声が残るか・回復するかは、がんの位置や治療内容によって異なるため、見通しは担当の医師に確認してください。
喉頭全摘出術では、これまでの声を失う
声帯を含む喉頭ごと摘出するため
喉頭全摘出術は、声帯を含む喉頭をすべて取り除く方法です。そのため、手術のあとはこれまでの声を出せなくなります。呼吸は首に開けた永久気管孔で行うようになります。
声を失っても、食道発声・電気式人工喉頭・シャント発声といった「代用発声」を身につけることで、再び会話を取り戻していくことができます。ただし、いずれの方法でも手術前と同じ「自分の声」がそのまま戻るわけではありません。
声を失う場合、「自分の声」で話す選択肢
声を失う前にできる備え
いまの声を録音して残せるのは、手術前の時期です。喉頭全摘出術が選択肢に入っている場合は、手術前に声を残しておくという方法があります。
私たち「コエノコ」も、手術前に収録した声をもとに、術後に自分の声を再現するサービスを提供しています。代用発声と組み合わせて使うことも考えられます。
治療方針はがんの状態によって一人ひとり異なります。まずは担当の医師とよく相談したうえで、「声を残す」ことが気になったら情報を集めてみてください。
よくある質問
- 声帯を切除すると、必ず声が出なくなりますか?
- いいえ。喉頭の一部を取り除く喉頭温存手術や放射線治療では、声を出す機能をある程度残せます(軽いかすれが残ることはあります)。一方、声帯を含む喉頭をすべて取り除く喉頭全摘出術では、これまでの声は出せなくなります。
- 喉頭温存手術なら、声は完全にもとどおりになりますか?
- 声を出す機能は残せますが、声質がもとどおりになるとは限らず、軽い声のかすれ(嗄声)が残ることもあります。どの程度残るかは、がんの位置や治療内容によって異なるため、担当の医師にご確認ください。
- 喉頭全摘で声を失ったあと、話せるようになりますか?
- はい。食道発声・電気式人工喉頭・シャント発声などの代用発声を習得することで、再び会話できるようになります。ただし、手術前と同じ自分の声がそのまま戻るわけではありません。
- 手術前に自分の声を残すことはできますか?
- はい。喉頭全摘出術で声を失う前であれば、ご本人の声を録音して残せます。残した声をAIで再現し、術後に自分の声で話せるようにする技術の実用化も進んでいます。
出典・参考
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