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永久気管孔とは?お風呂・外出・暮らしの注意点をやさしく解説

喉頭摘出後の「首で呼吸する生活」を、手術の前に知っておきたい方へ

スカーフで首もとを包み、秋の屋外で穏やかに過ごすシニア女性

喉頭摘出手術を受けると、首もとに「永久気管孔」という呼吸の入り口がつくられます。はじめて聞くと不安になるかもしれませんが、多くの方が工夫を重ねながら、その人らしい生活を続けています。

この記事では、永久気管孔とは何か、お風呂や外出など日々の暮らしがどう変わるか、緊急時にどう備えるかを、手術を控えた方とご家族に向けてまとめました。

永久気管孔とは — 首につくる「呼吸の入り口」

喉頭摘出手術では、声帯を含む喉頭をすべて取り除きます。喉頭は空気の通り道と食べ物の通り道が交わる場所にあるため、摘出後は気管の端を首の前面につなぎ、新しい呼吸の入り口をつくります。これが永久気管孔です。

手術のあとは、鼻や口ではなく永久気管孔から呼吸します。空気の通り道と食道が完全に分かれるため、飲食物が気管に入ってむせる「誤嚥」の心配は基本的になくなります。

「永久」という名前のとおり、一時的な気管切開とは違い、永久気管孔はその後ずっと使い続ける呼吸の入り口になります。日本では、喉頭摘出などで声を失った方が約3万人いるとされています。

暮らしはこう変わる — 鼻と口を通らない呼吸

呼吸の通り道が変わることで、日常の何気ない動作にも変化が生まれます。あらかじめ知っておくことで、手術後の戸惑いを減らせます。

変化の程度には個人差があります。匂いの感じ方を補う訓練が行われることもあるなど、リハビリや道具の工夫で補えることも多いので、不安な点は主治医や看護師、言語聴覚士に相談してみてください。

  • 鼻から息を吸わなくなるため、匂いを感じにくくなる
  • 鼻をかむ・すするといった動作が難しくなる
  • 息を止めて力む動作(重い物を持つなど)がききにくくなる
  • 空気が鼻を通らず直接気管に入るため、加湿と保温が大切になる

お風呂・シャワーの入り方

いちばん大切なのは、気管孔にお湯や水を入れないことです。気管孔は肺に直接つながる入り口なので、水が入ると激しくむせたり、窒息につながったりする危険があります。

湯船に肩までつかることはできなくなりますが、入り方の工夫や保護具で、入浴そのものは続けられます。

  • 湯船には首までつからず、胸のあたりまでにする
  • シャワーやお湯が気管孔に直接かからないように注意する
  • 入浴用の保護具(気管孔カバー)を使う方法もある

外出と季節の対策

外出のときは、エプロン型のカバーやフィルター付きの用具など、気管孔を覆う保護具があります。ほこりや虫の侵入を防ぎ、見た目の安心にもつながります。

冬は冷たく乾いた空気が直接気管に入り、気道の負担になります。加湿と保温を心がけると、痰が増えたり固くなったりするのを抑えることにつながります。夏は汗で保護具が汚れやすいため、こまめな交換が快適さにつながります。

緊急時とまわりへの伝え方

永久気管孔のある方が首で呼吸していることは、外見からはほとんど分かりません。だからこそ、緊急時に備えて周囲に伝わる工夫が大切です。

救命処置で人工呼吸が必要になった場合は、口からではなく気管孔から行う必要があります。「首で呼吸しています」と書かれたカードを財布や鞄に入れておく、家族や職場・学校に伝えておくといった備えが安心につながります。

災害時は停電や断水で加湿やケア用品の入手が難しくなることがあります。ケア用品の予備を非常用持ち出し袋に入れておくと安心です。

声はどうなる? — 手術の前に知っておきたいこと

喉頭摘出では声帯も摘出するため、手術前と同じ声で話すことはできなくなります。ただし、食道発声・電気式人工喉頭・シャント発声といった「代用発声」を身につけて、声でのコミュニケーションを取り戻している方はたくさんいます。習得のペースには個人差があります。

そして、あなたの声そのものを残せるのは手術の前だけです。元気なうちに声を録音しておくと、AI音声合成で「自分の声」を使い続けるという選択肢が生まれます。コエノコは、手術前の声の収録から合成音声の作成までをサポートしています。

よくある質問

お風呂には入れますか?
入浴は、気管孔にお湯や水を入れない工夫(湯船は胸のあたりまで・保護具の利用など)をすれば続けられます。プールなど気管孔が水につかる可能性のある活動については、必ず主治医にご確認ください。
匂いは分からなくなりますか?
鼻から空気が通らなくなるため、匂いを感じにくくなります。程度には個人差があり、匂いの感じ方を補う訓練が行われることもあります。詳しくは主治医や言語聴覚士にご相談ください。
身体障害者手帳は取得できますか?
喉頭摘出で声を失った場合、音声機能の喪失として身体障害者手帳の3級に該当します。手続きの詳細は、お住まいの自治体の障害福祉窓口にご確認ください。
気管孔の日々の手入れは何をしますか?
気管孔のまわりを清潔に保つことと、加湿が基本です。具体的な方法や頻度は状態によって異なるため、退院時に受ける指導と、主治医・看護師の指示に従ってください。
緊急時のために何を備えればよいですか?
「首で呼吸しています」と伝わるカードの携帯、家族・職場への共有、ケア用品の予備を入れた非常用持ち出し袋の準備がすすめられます。人工呼吸が必要なときは気管孔から行う必要があることも、身近な人に伝えておくと安心です。
ケア用品はどこで手に入りますか?
病院や販売店で案内されるほか、自治体の日常生活用具給付の対象になる場合があります。品目や条件は自治体によって異なるため、障害福祉窓口にご相談ください。

出典・参考

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