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永久気管孔・喉頭摘出で身体障害者手帳は取れる?音声機能3級の申請と、手帳で受けられる支援

根拠は「声を失ったこと」で、首の孔そのものではありません。申請は手術のあと、障害年金とは別の制度です

屋外の階段に腰かけ、笑顔で手帳にメモを取る人

「永久気管孔があるのだから、手帳は取れるはず」。そう考えて調べ始めた方は多いはずです。結論から言うと、手帳の根拠になるのは孔そのものではありません。

身体障害者手帳の等級表に「永久気管孔」という項目はありません。喉頭摘出で手帳の対象になるのは「音声機能の喪失」、つまり声を失ったことです。喉頭を全部取った場合は3級に当たります。

この記事では、何級になるのか、いつ申請するのか、手帳で何が受けられるのかを、国と自治体の公開資料で確かめられる範囲で書きます。金額や細かい条件は自治体ごとに違うので、窓口で確かめるための見取り図として読んでください。

永久気管孔があるから手帳が取れる、ではない

身体障害者手帳の等級は、国の「身体障害者障害程度等級表」で決まります。この表に「永久気管孔」という言葉はありません。手帳は「どんな手術を受けたか」ではなく、「どの機能が、どれだけ失われたか」で判定されるからです。

喉頭をすべて取ると、声を出せなくなります。国立がん研究センターの説明でも、喉頭全摘出術は「手術後は声を出すことができなくなります」とあり、首に呼吸のための孔(永久気管孔)を開けると書かれています。手帳が見るのは、この「声を出せなくなったこと」、等級表でいう「音声機能の喪失」のほうです。

呼吸については、等級表に「呼吸器の機能の障害」という別の項目があります。こちらは日常生活の活動がどれだけ制限されるかで判定され、音声機能とは基準が違います。首から呼吸していること自体が、呼吸器の等級につながるわけではありません。気になる点は診断書を書く医師に相談してください。

何級になるか

等級表では「音声機能、言語機能又はそしゃく機能の喪失」が3級です。国の認定基準は、3級の例に「無喉頭」を挙げています。喉頭を全部取った場合はここに当たります。

4級は「音声機能、言語機能又はそしゃく機能の著しい障害」です。認定基準では「音声、言語のみを用いて意思を疎通することが困難なもの」とされ、例に「喉頭の障害又は形態異常によるもの」があります。喉頭を残す手術で声が残った場合は、残った機能の程度によって3級・4級・対象外のいずれかになります。声が出ても意思の疎通ができなければ3級です。

線引きの目安は、日常の会話がどこまで成り立つかです。認定要領は、3級なら「家庭内での会話の用をなさない」、4級なら「家庭周辺において、会話の用をなさない」と診断書に書くよう求めています。家族との会話も声では成り立たないのが3級、家族以外との会話が成り立たないのが4級です。ただし自己判断で決まるものではありません。指定医が状態を診断書に書き、それをもとに自治体が認定します。

「声帯摘出」と説明を受けた方もいると思います。手術名としては「喉頭全摘出術」「喉頭部分切除術」などがあり、どちらに当たるかは手術の説明書や紹介状に書かれた手術名で確認できます。診断書を頼む前に主治医に聞いておいてください。

  • 3級: 声を全く出せない、または出せても意思の疎通ができない(喉頭全摘出)
  • 4級: 声や言葉だけでは意思の疎通が難しい(喉頭の障害や形態異常など)
  • 目安は「家庭内で会話が成り立つか」「家庭周辺で会話が成り立つか」

いつ・どこで申請するか

申請は手術のあとになります。手帳は障害が固まってから認定する仕組みで、たとえば愛知県が公表する目安では、喉頭摘出による音声機能の障害の認定時期は「手術後」とされています。診断書をいつ書けるかは、主治医と申請窓口に確認してください。退院前に聞いておくと準備しやすくなります。

診断書を書けるのは、法律で定められた「指定医」だけです(「身体障害者福祉法」の第15条)。主治医が指定医かどうかは病院か申請窓口で確認できます。名古屋市も「主治医が指定医師になっているか」を区役所福祉課に尋ねるよう案内しています。窓口は、お住まいの市区町村で障害福祉を担当する課です。名古屋市の場合、指定医の診断書のほかに写真とマイナンバーの確認書類が要ります。

手帳の等級は、状態が変わると見込まれる病気については見直し(再認定)の定めがあります。例に挙がるのは唇顎口蓋裂の後遺症や多発性硬化症などで、喉頭摘出は入っていません。交付のときに案内があれば、それに従ってください。

手帳があると何が受けられるか

手帳は、それ自体がお金を受け取る制度ではありません。さまざまな制度やサービスを利用するときに使う手帳です。手帳があっても自動的に給付されるわけではありません。対象や条件はそれぞれの制度で決まります。喉頭摘出後の暮らしにかかわるものを3つ挙げます。

1つ目は「日常生活用具」の給付です。市町村が行う事業で、国が示す用具の種類には人工喉頭が明記されています。人工鼻を対象にしている市町村もあります。ただし品目・基準額・自己負担は市町村ごとに違います。流れは、申請して給付の決定を受けてから用具を受け取る順です。先に買うと対象にならないことがあるので、購入の前に窓口へ行ってください。

2つ目は税の控除・減免です。手帳があれば所得税の障害者控除を受けられ、3級は「障害者」の区分に当たります。自動車税は都道府県ごとの制度で、たとえば東京都は喉頭摘出による音声機能障害3級を減免の対象に挙げています。車の用途や運転者などの要件もあるので、お住まいの都道府県の案内をご確認ください。

3つ目は交通運賃の割引です。JRの割引は、手帳の「旅客鉄道株式会社旅客運賃減額」欄に書かれた「第1種」「第2種」で決まります。等級の数字とは別に、この欄を見てください。音声機能の障害だけなら第2種で、本人が一人で長距離を乗るときの割引が中心です。他の障害を併せ持つ方は第1種になることもあります。JR以外の鉄道やバスは事業者ごとに条件が違います。

  • 日常生活用具: 人工喉頭(自治体により人工鼻も)。購入前に申請。内容は市町村ごと
  • 税: 所得税の障害者控除。自動車税の減免は都道府県ごと
  • 交通: JRは手帳の減額欄の第1種・第2種で決まる。音声機能の障害だけなら第2種

障害年金は別の制度。そして声は手術の前にしか残せない

手帳と混同されやすいのが障害年金です。こちらは日本年金機構の基準で判定される所得保障の制度で、喉頭全摘出で発音に関わる機能を失った場合は原則2級。手帳の3級とは制度も基準も別なので、数字が違っていて正常です。金額や請求できる時期、手帳との関係は障害年金の記事にまとめました。

手帳があれば、条件に合えば人工喉頭や人工鼻の給付を受けられ、税や運賃が軽くなることもあります。どれも術後の暮らしを支える仕組みです。ただ、手帳のどこにも、失った声を戻す欄はありません。

コエノコで今の声を収録できるのは、手術の前だけです。コエノコは、喉頭摘出などで声を失う前にご本人の声を収録し、術後にその声に近い合成音声で話せることを目指すサービスです。名古屋大学の「Save the Voice」プロジェクト(AMED 事業)の知見をもとに、株式会社TARVOが提供しています。

手帳の申請は手術のあとですが、声の収録は手術の前です。手術の日程が決まったら、制度の下調べと同じタイミングで、一度検討していただければと思います。

よくある質問

永久気管孔があるだけで身体障害者手帳は取れますか?
永久気管孔そのものは等級表の項目にありません。喉頭摘出で手帳の対象になるのは「音声機能の喪失」、つまり声を失ったことで、喉頭全摘出なら3級に当たります。呼吸器の機能の障害は、日常生活の制限の程度で判定される別の項目です。
声帯を一部だけ切除した場合は何級ですか?
手術後にどの程度の機能が残るかによります。声が出ても意思の疎通ができなければ3級、声だけでは意思の疎通が難しければ4級の「著しい障害」、家庭周辺で会話が成り立つ程度なら対象外になることもあります。判定は指定医の診断書をもとに自治体が行うので、主治医にご相談ください。
手術の前に申請できますか?
手術の前には申請できないのが一般的です。手帳は障害が固まってから認定する仕組みで、たとえば愛知県が公表する目安では、喉頭摘出による音声機能の障害は「手術後」とされています。診断書をいつ書けるかは、主治医と申請窓口に確認してください。
給付の決定を待たずに電気式人工喉頭を買ってもよいですか?
購入は給付の決定が出てからにしてください。日常生活用具は市町村に申請し、決定後に給付を受ける流れで、先に買った分は対象にならないことがあります。まず窓口で品目と基準額を確認し、決定の通知を待ってから購入するのが安全です。

出典・参考

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